女子会プラン継続中 - 2/2

「瞬ちゃーん聞いて聞いて!! 今夜うちのババアが居ないから泊まりに来ない!? 女子トークしようよ女子トーク!! レッツ女子会インけーちゃんち!!」
「ええ……また急ですね。別に構いませんけど」
「よっしゃー! 決まりっ!!」

 ある日の部活後、ついさっきまでぐったりしていた筈の要がスマホの画面を見た瞬間元気いっぱいそう叫んで千早に抱き着いていた。
 恐らく母親から今夜居ないという連絡が来たのだろう。
 わかりやすく思春期丸出しの要だが、それはそれとして女友達同士の親睦を深めたい! とうっきうきでお泊まりを提案したわけだ。

「つーわけではるちゃん! 今夜は突然来るなよ!!」
「えぇ……」

 幼馴染で当たり前に家を行き来しているらしい清峰にしっかり要が釘を刺す。
 女子会にはるちゃんみたいなでけえ男が来たらダメだろ、と理由はそこ?? みたいな理由で入室厳禁を告げる要に、清峰は図体に見合わずしょんぼりとした顔になった。
 そもそもこいつら夜に互いの部屋に行ってるんかい、へー、みたいな空気にはならない。何故ならもう公然の幼馴染だからである。
 記憶を失う前のハイパーめちゃモテ智将マネだった頃も今も関係なく、清峰は要にべったりで、自分家と同じくらい入り浸っているのはもう周知の事実過ぎた。
 
「俺はともかく瞬ちゃんはいきなりはるちゃんにパジャマ姿とか見られたら恥ずかしいってなっちゃうだろ! だから絶対来るなよ! 来たら絶交な!!」
「……わかった」
「まあ恥ずかしいとはなりませんけど、わざわざ要さんの部屋でまで清峰くんの顔を見たくはないですね」
「シンプルに酷いね!!」

 思わず山田が突っ込むものの、まあ普通そうだろう。
 千早からしたら清峰は幼馴染でも彼氏でもない男なので、気の抜けた格好を見せたくないと思うに決まっている。
 ちなみに藤堂は藤堂で『忘れたとか言って行くんじゃねえぞ』とこちらもしっかりエースに釘を刺していた。小手指高校のエースは記憶力にあまり信用がないらしい。
 要は女子会とか初めて!! とご機嫌に千早を腕を組んで振り払われていた。ブレない。

 というわけで、普段なら幼馴染コンビ、山田、藤堂&千早の順にバイバイするところを幼馴染+千早で一番に道を逸れて、そのまま要の家に女子ふたりが帰宅する。
 今回は本当に要母は居なかったらしく、帰り道にコンビニに寄って買った晩御飯を冷蔵庫に突っ込んでとりあえず風呂入ろう! と要が風呂を沸かしに行った。

「あ、パジャマは俺の貸すからね!」
「ありがとうございます」
「一番風呂どうぞ!! 俺は今のうちに部屋を片付けるわ!!」
「あはは、じゃあ遠慮なく」

 片付ける、と言いつつも実は結構物が少ない部屋なことを知っている千早は、多分潔癖っぽいところのある自分の為にコロコロとかしてくれてるんだろうなと素直に礼を言って先に風呂を貰った。
 風呂上りに要の部屋に行けば、予想通りコロコロを片手に持った要が居る。
 要もじゃあ次俺ね! と軽やかに風呂場に向かったので、その間に千早は夕飯を温めたりお茶を準備したりして待つことにした。
 暫くして、要が出た頃にはすっかり部屋に夕飯の準備が出来ており、二人で仲良くいただきますをする。

「よっし、風呂入ってフロアも沸いたことだし、そろそろ恋バナいっとく!?」
「しょーもなギャグやめてくださいよ。まあパイ毛よりはましですけど」
「え、パイ毛はオヤジギャグにも負けるの……!? じゃなくて恋バナしようよー!! 学校だとそもそもはるちゃんも葵っちもいるからそういう話出来ないじゃん!? 女二人でセキララ話しようよ~!」
「まあ彼氏を前に彼氏の愚痴はちょっとだいぶ面白いですからね」
「え、愚痴オンリーになる感じ!?」

 そう、要は清峰と、千早は藤堂とそれぞれ付き合っている。
 お互い最初は付き合っていることを隠していたが、清峰が毎日当たり前みたいに『圭可愛い。一番可愛い』と言い続けていたことに対して『うっせーな千早のほうが可愛いわ!』と藤堂がキレたことにより見事に相互バレしたというわけだ。
 その話を聞いた要は腹抱えて爆笑していたが、千早は無表情のままに鳩尾をぶん殴ったし、藤堂はすまん、しか言えなかったらしい。内緒ですよって言われてたのに口が滑った自分が100悪いという自覚はあった模様。潔く謝られたら千早も渋々許すしかなかったのでファミレスでお高めパフェを奢ってもらうことで手打ちにしたそうだ。

 と、まあこのような経緯でバレて以降は山田にも話して、野球部全員が知るところに落ち着いた。
 人数は少ないし顔合わせる機会も多いのだから、下手に隠すより話しておいたほうが良いだろう。
 が、人前では付き合う前も後も全然態度が変わらない四人(藤堂と清峰はちょっと怪しい時があるが)だったので、要はこうして女子二人で話せる機会を虎視眈々と狙っていたというわけである。

「だってさー!! 瞬ピー全然匂わせの欠片もないじゃん!? 実際どうなん!? 気になる気になる!! 葵っちとのラブラブな話聞きたい!!」
「ええ、だってそもそも隠してましたし……藤堂くんのバカでバレましたけど……というかそっちだって隠すのお上手では?」
「智将はともかく俺は結構顔に出るっしょ?」
「そうでもないですけどね。少なくとも野球部の面々の前では隠さなくてもいいからというだけで、他の人達からは全然気付かれてないと思います」
「マジで!? 俺も智将の才能ある!?」
「同一人物なんですがそれは」
「ていうかまずこれだけ聞かせて!! どこまでいった!?」

 テンションの高すぎる要に圧倒されつつも、千早はおろおろと眼鏡の縁に指を滑らせる。
 これまで、円滑な人間関係の為にそれなりに女子とも仲良くしてきた千早だが、あくまでそれは表面上だけのものだ。
 実際に家に行くほど仲良くなった女子は実は要が初めてであり、ウザいと思いつつも別に嫌いなわけではなく、ただ、このどこか浮かれた空気に慣れないだけだった。
 要は要で、記憶喪失前も清峰に一番近い女として他の女子からは敬遠されがちだったし、正直女友達は全然居なかったので、やっと夢の女友達!! とテンションバカ高ではあるものの千早が本当に嫌がっていたらすぐに話題を変えるつもりではある。
 女友達が少ない女ふたりによる、初心者マーク付き女子会、というわけだ。
 要(アホのほう)によるいきなりのぶっこみも多少は大目に見てあげてほしい。本当にただ慣れてないせいで話の切り出し方がアクセル全開という選択肢しかないだけだ。

「っど、どこって、いやそこまでまだデートとかする余裕ないですし、」
「またまた~! 瞬ピーほど頭良くて発言の意図を汲み取れないわけなくない?? ちゅーとかそっちの話!!」
「そ、逸らしたのに返ってきた……!!」
「ねえねえどうなん!?」
「うっきうきじゃないですか! っていうかひ、人のこと聞く前に自分はどうなんですかね!?」
「いつかの手段でやり返された……!!」

 互いにブーメランを投げまくっているが、ブーメランは基本自分のもとへ戻ってくるものだ。
 まあここは言い出しっぺからお願いしますよ、と千早がややニヤリとした表情で言えば、わかったよ! と要も唇を尖らせた。

「ズバリ!! まあいけるとこまでいってるよね!!!」
「うわ、だと思いました」
「だと思いました!? そんな匂わせた記憶ないんだけど!?」
「あの距離感で寝てないって言われたら逆に怖いんですよ」
「そんな近い?」
「少なくとも君が同じ距離感で別の男に近寄ったら確実に清峰くんがブロックしに来ると思います」
「はるちゃんはちょっと甘えただからな~!」

 あの狂気の執着を甘えたの一言で片づけるあたりやっぱり謎に懐が広いな要圭……! と内心慄きながらも千早はそうですかの一言で飲み込んだ。
 
「でも実際、練習量も相当ですし、そのあとでそういうことする体力ってなくないです?」
「俺はねえよ!? でもはるちゃんが!!」
「フィジカルモンスターが彼氏だと大変ですね!!」
「それはそっちにもそのまま当てはまるっしょ!! 葵っちとか見るからにフィジカルモンスターだし!!」
「でもうちはまだそういうことしてないですし」
「だと思った!!!!!!!!」
「うわうるさっ!! え、どっかで見ましたねこの展開つい二分前とかに」
「瞬ピー達は多分~~~~キス!! 一回したかしてないかくらい?」
「ッ、な、なぜそれを……!?」
「いやいやそっちも相当わかりやすいからね???」

 あからさまにテンパる千早に、要はふっふっふと意味深に笑ってホームズのポーズを取る。
 せめて智将モードならもうちょいサマになっただろうに、とは突っ込まずに一応その推理(笑)を拝聴してあげますよと軽口をたたいた。

「瞬ピー達、ちょっと手が当たっただけでも面白いくらい動揺してるじゃん? あれで実はもう寝てますけど? とか言われたら俺はもう世界を何も信じられないね!!」
「ッえ、」
「ていうか葵っちは普通に我慢してそうだけど……上にお姉ちゃん下に妹がいる長男でもあるからな~! いかにも野獣! みたいな顔してかなり我慢強いとこあると思うし、もし我慢しきれなくなった葵っちから手を出してほしいって思ってるなら希望薄だと思うぜ!」
「要さんちょっと怖いんですけど!!!!!!!」
「エッ何が!?」
「せっかくの頭脳をこんなしょうもないことで輝かせるのやめてくれません!?」
「はっはーん図星だな!! さすが俺~!!」
「~~~~ッ!」

 洞察力のレベルがカンストしている要の推理はどうやら大当たりだったらしい。
 千早は初めて出来た彼氏である藤堂とはまだキスを一回しかしていない。
 それも、告白の時に勢いでしたやつで、あれから一か月は経っているのに未だに手を繋いで帰るのが精一杯という初心っぷりだった。
 藤堂は明らかに恋愛慣れしてない千早に合わせてくれているし、千早もそれはわかっているのだが、だからといって自分からちょっかいをかけるのは悪態が関の山で。
 結局今までと何も変わらない、悪友みたいな恋人関係に落ち着いてしまっていた。

「瞬ピー的にはそれってありなん?」
「あ、ありというか、まあ、別に……」
「葵っちに強引に求められたーい! とかそういうのないん?」
「ッな、ないですそんなの!」
「へー?」

 要はにやにやしていたが、そのまま流れるような動作で千早の手を取ってそのままぐいっと自分のほうへ引き寄せる。
 驚いた顔の千早をそのままベッドに押し倒して、耳元で無駄に色っぽく囁いた。

「こういうこと、葵っちにされたらって考えない?」
「っだ、から、そういうのは、っひゃ!」
「こうしてさぁ、耳元撫でられて、余裕のない声で名前呼ばれたりするの想像してみなよ」
「~~~~ッっわぁぁあ!!」

 つう、と軽く耳を撫でられて、くすぐったいような何とも言えないような感覚に思わず目を瞑る。
 まるで催眠でもかけられたみたいに、脳裏にはすっかり余裕を無くした藤堂が千早を求めている姿が浮かびあがって、思わず叫んだ。

「ちょ、ずるいですそれは!! ていうか自分だってついこないだまで処女だったくせに調子乗りすぎでは!?」
「まあね!! ぶっちゃけ浮かれてるとこはある!! とはいえさ、瞬ピーがもだもだしてんのはわかってたから折角だし背中押したろ! みたいな?」
「背中押すどころじゃないですしなんてこと言ってくれるんですか!! っもう、そういうことは考えないようにしてたのに……!」
「えっなんで?」
「は、っはしたない、から」
「好きな人に求められたいのって自然じゃね?」
「!」
「誰彼構わずやりたいとかじゃないじゃん? 瞬ピーも俺も」

 だったら別に堂々としてればよくね? とあっけらかんと笑う要に、千早はまあそうかもしれないですけど、と力なく返す。
 
「……俺にはあまり、自信がないんです」
「!」
「好かれるに値するような自信がない。……藤堂くんの彼女でいていいのかって、ずっと思ってました。今も思ってます」
「なんで!? だって二人とも明らかに両想いじゃん! 悩むことなくない!?」
「俺は藤堂くんのこと好きですよ。藤堂くんだって、俺のことを好きなんだとは思ってます。……でも、俺は俺を好きじゃないから」
「……!」
「俺が全く好きじゃないものを、このまま好きでいて貰えるのかわからない。自分じゃ全然わからないから、自信を持てないんです」

 ある日突然やっぱ別れるとか言い出したらどうしようって。
 そうなったときに、俺は多分『ああやっぱり』って思うだけで引き留める言葉を持ってないんだろうなとか。
 そんなことばっかりです、と千早は苦笑いを浮かべた。

「甘ったるい恋バナではなくて恐縮ですが、これもギリ恋バナですかね?」
「……瞬ピーはもっと思ったことを葵っちに言ったほうがいいと思うな」
「! え、嫌ですよ」
「即答!」
「藤堂くんに、こんなみっともないとこ見せたくないです」
「俺にはいいのに?」
「……まあ、要さんは……別に……ともだち、っじゃなくて今女子会中なわけですし礼儀として……一応……」
「もーーー!! そこは素直にマブダチだからでいいじゃん!! 瞬ピーのツンデレ!」
「うわやめてくださいツンデレじゃないですし! なんか安っぽいんですよツンデレって単語!!」
「でもさ、多分、葵っちはそういうとこも全部知りたいって思うだろうね」
「!」
「好きだからこそ、相手を理解したいんだよ。そんで、葵っちなら瞬ピーが色々悩んでることだって全部受け止めてくれるっしょ」

 俺は葵っちの恋人じゃないけど、仲間で友達のつもりだから断言してやんよ! と要はいい笑顔で言い切った。
 
「よし決めた! 次の女子会開催までにチュー以上のことをなんかして報告な!!」
「っはぁ!?」
「なお次の女子会は来月開催です」
「早いです展開が!!!!!!!!!!」
「そう? 遅いくらいだと思うからもし早めの開催をお望みだったら言ってね!! 緊急女子会大歓迎でっす!!」
「あり得ませんから!!!!」
「折角だからもしそういうことになった時のアドバイスいる?」
「っそ、……れは、ちょっとだけ聞いてあげても、一応知識として? 先輩から聞いておくのも無しよりの有りというか」
「はいはい聞きたいなら聞きたいって素直に言えばいいのに!!」

 どうにもこうにも素直になれない千早文法にもすっかり慣れてきた要がドヤ顔をしながら千早に親指を立てる。

「いろいろでっけえから多分最初はクソビビると思う!!! 俺は泣いた」
「泣いた!?!? いや要さんはわりと普段からすぐ泣くじゃないですか」
「いやあんなんマジ凶器だから!! そんなもん入るかって逃げようとしたらすぐ捕まったんだけど!! マジありえナイツ!!」
「それはなんというか……普通に怖いですね」
「途中で俺がビビり過ぎて気を失って知将にバトンタッチしたんだよな」
「そんな最悪な入れ替わりあります?????」
「知将がしょうがねえなぁとか言いながら色々頑張ってくれたお陰でどうにかなったよな……はるちゃんもそういう知識あんまりねーけど、知将の『入れていいって言われるまではだめだ』の呪文の効果がえぐすぎた」
「そっちのほうでも従順なんですね……」
「お陰様で自分から入れてっておねがりしなきゃいけなくなったけど、まあ痛いよりは全然マシだよな!!」
「普通にバイオレンスかつホラーなんですが。もしかして初体験まだの俺をビビらせようとしてます?」
「いや、普通にマジでただのアドバイス。なんだかんだで良かったけど、今回はほぼ智将のお陰みたいなとこあるから今後は二人で研究しようってなった」
「仲が良くて何よりですけどあんまり智将に迷惑かけちゃだめですよ」
「智将も一応俺なんだけど!?」

 普通にカップルの筈なのに何故か3Pの話を聞いているみたいだな、と思ったが言わない千早だった。英断。
 初夜と思えない濃さだったが、結局要が言いたいのはただ一つ。

「慣らしをサボると死ぬから気をつけろよ!!!!」
「死ぬんですか!?」
「でもまあ、うちの我慢の利かないはるちゃんならまだしも葵っちだもんなー、多分心配ご無用だな!」
「……まあ、優しいとは思ってますけど」
「珍しい瞬ピーのデレ!! 写真とっとこ!!」
「は!? やめてください!」

 その後も暫く初夜の話で盛り上がり、まさかこんな形で暴露されているとは思いもよらない今回の被害者清峰はといえば、お家でぐっすりすやすや眠っていた。
 もし床事情がバレたとしても多分清峰は別に気にはしないだろうが。
 圭が良いなら別に、で片づけられる自信があったからこそ要も普通に暴露したので。
 付き合うようになったきっかけやら、告白はどういうものだったかなど、乙女(初心者)の話題は全く尽きることなく夜は更けていった。

「おはよ~……………」
「おはようございます……」
「え、女子会だったんだよね!? お通夜じゃないよね!?」

 翌朝、普通に寝不足で目が死んでる二人に思わず山田がつっこんだが、二人は女子会で合ってる、と頷く。
 大丈夫かよ、と心配そうな顔をしている藤堂に、ふと要が多少目を輝かせて近づいた。

「葵っち葵っち」
「んだよ?」
「耳貸して!」
「え、やだ」
「えー、そのほうが葵っちが助かると思ったから言ったのに! もういいもん! このまま言ってやる!」
「あ!?」
「瞬ピーねえ、耳弱いよ!!」
「なっ!? は!? おいどういうことだ説明しろ!!」
「ちょっと要さん余計な事言わないでください!」
「だから耳貸してって言ったのに」

 おれしーらね☆ という顔でそそくさと離れる要を追いかけようとした藤堂をむっとした顔の清峰がガードした。
 一方千早は顔を真っ赤にしながら別にそんな言うほどじゃないですから! と見当違いな言い訳をし、藤堂は色々脳を過るあれやこれやな彼女の姿を必死に霧散させようと頑張る。何せ今から練習だ。

「………………千早、今日の帰りうち寄れるか」
「……まあ、はい、構いませんけど」

 結局ふたりで話すのが一番早いと結論を出した藤堂に、ここまで黙っていた清峰が未だむっつりとした顔で口を開く。

「俺だって圭の弱点全部言える。まず「はるちゃんそれ言ったら絶交な」「なんにでも張り合うなバカタレ!!!」「清峰くん、後でお金払うんで教えてくれません???」「瞬ピー!?」えぇ……」

 そんな四人を見ながら、なんだかんだで山田たちの前では恋人同士であることをそこまでアピールすることのない四人のまあまあ珍しい姿に先輩含めたチームメイト達はほっこりしたという。今日も我が部は平和だな。

 朝練が終わる頃にはすっかり普段通りの彼らになっており、いつものように和やかに過ごすことが出来た。
 帰り道、要が千早にグッドラック☆ といい笑顔で親指を立てたのを千早が猫目で睨みながら道を別れて、山田とも別れたら藤堂と千早だけになる。
 朝話していた通り、そのまま藤堂家にお邪魔することになり、にやにやしているお姉さんとうきうきしている妹さんに歓迎されながら藤堂の部屋へ向かった。

「……で、昨夜は随分盛り上がったみたいじゃねえか」
「まあ俺も女子ですからね。ああいうのに憧れがないわけではなかったんですよ。ぶっちゃけアホっぽいなーとは思ってましたが」
「何か一言言わねえと気が済まねえよなお前」
「アホになるのもたまには悪くないですからね。藤堂くんはいつでもアホですからあまり関係ないかもですけど!」
「ほっぺつねっていい????」
「だめでーす」

 相変わらずにやにやと藤堂を煽る千早と、それに律儀に反応する藤堂だったが、軽くほっぺをむにった後に真面目な顔で藤堂が尋ねる。

「で、あいつに何吹き込まれたんだ?」
「え?」
「今日ずっとそわそわしてるだろ? 人がいると言いづれえことかと思って家まで連れてきちまったけどよ」
「! 俺、そんなわかりやすいです?」
「他の奴が気付いてるかは知らねーけどな。あと要がずっとにやにやしてたからあいつ関連かと思ってた」
「まぁ…………間違いでは……ないですかね……」
「なんかされたか? 別に要に何かされたからって浮気判定とかは流石にしねえからな俺。そこまで心狭くねえからな??」
「もしかして耳が弱いの件まだ引き摺ってます?? あれは要さんが勝手に言ってるだけですからね???」
「つまり別件では何かあったんだな」
「誘導尋問は卑怯だと俺は思います」
「お前自分はよくやるくせに……!!」

 とはいえである。
 もうここは藤堂ホームであり、今更誤魔化して逃げられるとも思えない。
 何より、要の言っていた言葉は、何も千早への嫌がらせではなく本心からの、心配からの言葉だった。
 隠し事は不和の元であることくらい、千早だって承知の上だ。
 それでも、この真っ直ぐな男に知られるのは怖かった。
 自分自身が最も唾棄してやまない、美しくも真っ直ぐでもない、ぐちゃぐちゃに悩んでばかりである自分自身を知られるのは。

「……いや、少し違うかもしれませんね」
「あ?」

 確かに知られることが怖かったのは嘘じゃない。
 だけど千早が本当に本当に怖かったのは、知られることで藤堂に嫌われるかもしれないということだった。
 好きな人に嫌われるのが、何より一番怖かったのだ。
 それはつまり、話したら嫌われるかもと思う程度には藤堂を信頼していないのと同じことで。
 恋人でもない要ですら、藤堂なら大丈夫だろうと信じていたというのに。
 無意識に、自分を守ろうとして、他人を内に入らせない。信じないことで裏切られた時の衝撃に備える脆弱な心。
 恋人であってもそれが発動してしまうことが、何より自分を嫌いにさせた。

 いつまで、こんな自分でいなきゃいけない?
 壁は目の前で、しかも壁の向こうからはいつだって千早に向けて手を差し伸べられていたのに。

 俺も変われますかね要さん、と心の中で問いかけながら、千早は小さく口を開いた。

「……藤堂くんは、俺のこと好きですか」
「! あ、あ、当たり前だろ。じゃなきゃ付き合ってねえよ」
「知ってます。…………でも、俺は俺を好きじゃないんです」
「え、」
「俺は俺の性格も、顔も、体も、全部好きじゃない。全部嫌いで、だからそんな俺を好きだという君を不思議に思っていました」
「千早……」
「俺は君のことが好きです。だからこそ、こんな俺を好きでいて貰える自信がなくて、それが少し怖い」
「……」
「君が俺を好きでいてくれるという根拠を自分に見つけられないから、俺はずっと怖いままだった。それを直接藤堂くんに伝える勇気すらなくて、要さんに昨日せっつかれてやっと覚悟を決めたんです」

 藤堂は黙って千早の目を見て話を聞いている。
 その静けさは、今の千早にはとても優しいものだった。

「俺の腹の内は大体こんなところです。なのでまあ、もし俺に飽きたらその時は遠慮なく言ってくださいね。俺だって、俺すら好きになれないものを自分の好きな人に押し付けるのは心苦しいですから」
「お前ずっとそんな風に思ってたのか」
「!」
「……早く言ってくれよなって思ったけどさ。それを言えるくらいの男に見えなかったってんなら仕方ねえ。それはお前が悪いんじゃなくて俺が悪いわ」
「は!? いやこれは普通に俺の問題ですから藤堂くんは何も悪くないですよ?」
「悪いわ!!! お前が自分を嫌いなのは、正直なんとなくわかってた」
「!」
「一緒にいれば、一緒にいて、俺が横でずっと好きだって言ってれば、そのうち少しでも嫌いじゃなくなると思ったんだ。俺はお前が好きだから、自分を嫌いなままでいさせたくねえって思ってた」
「……なんでそこまでバレてるのに一緒にいてくれるんですか?」
「千早が好きだからに決まってるだろ」

 千早は本気でわからない、という顔をする。
 客観的にみてこんな面倒な女自分なら絶対にごめんなんですけど、と言えば、藤堂は呆れたように笑い飛ばす。

「その面倒な女が俺は好きなんだよ。つーか千早なら素直でも素直じゃなくても、面倒でも面倒じゃなくても好きだわ。お前の悩みすぎるところだって、それだけ自分や相手のことを真剣に考えてる証拠だろ」
「!! ……そんなふうに考えたことは、ありませんでしたね」
「お前がお前を好きになれなくても、俺はお前が好きだし、好きだって言い続けるからな。別れる気も全然ねえし、俺に悪いからとかいう理由で振ろうとしたら許さねえぞ」
「……藤堂くん」
「お前の顔も、性格も、俺がいつか必ず好きにさせてやる。良いとこだっていっぱい見つけてやれる。だから、もうそんなこと言うなよ」
「今しれっと体がとんだんですけど、もしかして体は好みではない感じですか……?」
「いやまだ見てねえのに適当なこと言ったらお前キレるかなって思って」
「俺に詳しすぎるでしょうちょっと引きます」
「調子が出てきたようで何よりだよこんちくしょう」

 ぷ、と小さく笑った千早に、やっと笑顔が戻ったなと藤堂は内心ほっとする。
 好きな人にはいつだって笑っていてほしいから。

「まあなんだ? 体もほら、絶対好きだと思うけど不安に思うなら、その、見させてもらうしかねえわけだけど、千早は嫌だろ?」
「……べつに」
「エッ」
「……ッ嫌、とは、おもいません、けど……?」
「…………ちょっとタンマな」
「はい?」

 バチンッと激しい音を立てて藤堂が自分の頬を張り倒す。
 いきなりの奇行に千早が驚いていると、赤くなった頬を抑えてひと仕事終えたぜ、みたいな顔で藤堂が呟く。

「っぶなかったぁ……!!!! 危うく手が出るとこだった」
「手は出てましたよ、君の頬に」
「そーじゃねえわ。普通に今すぐ押し倒しそうになってやばかったっつってんだよ」
「っそ、え、」
「俺はさ、千早はあんまり触られたりとか好きじゃないって思ってたんだ。だからせめて手ぇ繋ぐくらいはって思ってた」
「!! 別に、好きでもない人とは触れ合いたいなんて思いませんけど。藤堂くんは付き合ってますし、好きな人は別枠では?」
「じゃあ、お前に触っても怖くないか?」
「別に藤堂くんなんか怖くありません。……だいたい、そんなこと言って結局いつも何もしないじゃないですか」
「まあ俺も普通にビビってたんだよ。下手に調子乗って触った瞬間振られたりしたら一生引き摺って夢に見るわ」
「そこまで鬼じゃないですね。……すきに触っていいですよ、それは彼氏である君の特権なんですから」
「俺の千早が誘惑してくる~~~~~~!!!!」
「いきなり妙なこと言わないでください!!!」

 小声で叫ぶという器用な真似をする藤堂だったが、やがて大きく息を吐いて座りなおす。
 今日は姉貴も妹もいるから、と告げる藤堂に、まあそうだよなと千早も頷く。

「流石に今はちょっとないですよね、大丈夫ですよ」
「いや悪いそこまで俺は我慢出来ねえから今日はバレない程度に少しだけ、な?」
「へ? ッゃう!?」
「……お前本当に耳弱いんじゃん。要め……俺より先に触りやがって」
「ま、ちょ、まってくださ、ッん」
「待たねえ。触られるのが嫌じゃねえんなら、俺が我慢する理由はねえしな」

 耳を軽く撫でて、そのまま流れるようにキスをする。
 二度目のキスで、千早は既に頭の中が真っ白だ。
 色々悩むことが多い頭だけど、少し唇が触れただけで何も考えられなくなってしまう。
 要の言葉が蘇る。

『葵っちに強引に求められたーい! とかそういうのないん?』
 
 ない、はずだった。
 そもそもペースを乱されるのは好きじゃないし、予定通りじゃないことは苦手な性質で、そういうことをするにしても多少の優位は絶対取りたいとすら思っていたのに。
 
「っとうどうくん、ま、ッんぅ」
「やだ。こっちがどれだけずっと待ってたと思ってんだ」
「ッ、ん」

 ちゅ、ちゅ、と何度も繰り返して唇を貪られ、どんどん力が抜ける体を大きな腕で支えられる。
 嫌悪どころか普通に気持ちよくなってることに千早は驚いたし、案外悪くないかも、と思ってしまったことに対して恥ずかしさが襲ってきた。
 もう無理! と声を出そうと開いた唇からは逆に舌の侵入を許してしまい、より一層動けなくなってしまう。
 数分が経過して、ようやくされるがままになっていた千早は解放された。
 その頃にはもうすっかり脱力状態で、藤堂の部屋の畳に倒れこんでぜえはあと荒い呼吸を繰り返すことしか出来ず、思わず憎まれ口を叩く。

「っと、藤堂くん、えんりょとか、知らないんですか……?」
「知らねーなぁ。つーか本当はもっとさらっとするつもりだったんだけどよ、可愛すぎて止まるの無理だったわ! 悪い!」
「まったく悪いと思ってない人の言い方じゃないですかそれ! ~~ッ、こしぬけた……!!」
「治るまでゆっくりしてけよ」
「どのみち動けませんからね! いざとなれば君を足に家に帰りますよ俺は!!!」
「お前ひとりくらい余裕でおぶってやるけどな」
「くそ!! っこの筋肉ゴリラ!!! 嫌がらせにならないじゃないですか!」
「むしろご褒美だよな」
「はい?」
「いや何でもない流石にこれはない」
「?」

 藤堂は下心をそっと隠しつつ、機嫌良さそうに千早の髪を撫でる。

「お前の髪、サラサラで綺麗だよな」
「はい?」
「肌も綺麗だしさ、目も大きくて可愛いし、さっき気付いたけど睫毛もなげえ」
「え、は?」
「身長低いの気にしてるっぽいけど、気にしてないですみたいな顔すんのも可愛いし、照れた時はいつもより煽り芸のキレが悪いとこも俺は可愛いって思ってる」
「いやいやいや待ってくださいいきなり何ですか!? 浮気ですか!?」
「なんでそうなる!?」
「いきなりご機嫌取られたら浮気かなって思うじゃないですか!」
「さっきの今で実は浮気してましたとか俺最低すぎて最低選手権で優勝出来るだろうが!!」
「浮気じゃないなら何なんですか!?」
「お前が言ったんだろうが!! 自分のこと嫌いだって!! だから、俺の思うお前の好きなところを全部聞いてもらおうと思って」
「……え」
「まだまだあるから覚悟しろよ? 因みに全部聞くまでこの部屋からは出さねえ」
「は、はあ!? もういいですよわかりましたから!!」
「いーやわかってねえ。頭良いけど俺らとバカ騒ぎする時は一緒に爆笑しながら騒いでくれるとこだろー、眼鏡外したらちょっと幼くなるのもギャップあって可愛いし、猫とか汚いから無理ですとか言ってた癖に一人の時に猫に話しかけてんの見た時は可愛すぎて死ぬかと思った」
「ちょっと待ってくださいいつ見たんですか!? じゃなくてもういいですって!!」
「手ぇ繋いだ時目を合わせようとするとおろおろするのもめっちゃ可愛いし、さっき耳触った時の反応もめちゃくちゃ可愛かったし、いっつも薄笑いの癖に仲良い奴らの周りだと実は結構表情がコロコロ変わるとこも可愛い」
「シャットダウン!! シャットダウンボタンはどこですか!!!!! もういいですってやめてください俺が悪かったです!!!」

 アッこれ結構調子乗ってるな、と気付くのがかなり遅くなったのはやはり惚れた弱みだろうか。
 勿論全部本音だが、千早の反応が可愛いのでせっかくだし普段言えないことも全部言っとけ! という藤堂の気持ちにやっと気付いた千早はこのまま黙っていられない。
 何かやり返さなければ!! と未だに続く千早めっちゃ可愛いトーーークの合間を縫って必死に頭を働かせる。
 とりあえず止まればそれでいいのだ、と千早は未だ試したことのない方法を試みた。

「っもう、これ以上言うなら俺にも考えがありますからね!」
「お?」
「い、意地悪はやめてください、ッ、っぁ、あおいにーに」
「~~~~~ッ!??!!?!?」

 超小声だが、半泣きで赤い顔の彼女に上目遣いでそんなこと言われた藤堂は予想通り固まった。
 しかし普通にカウンターというか、自分で自分にダメージを入れてしまった千早ももれなく固まったので痛み分けである。

「っふ……!! 俺の勝ちです……!!!!」
「いったい何と戦ってるんだお前は……!!」
「でも今のは効いたでしょう?」
「いきなりの名前呼びはずりーーーだろ!!!」
「効いたのはそっちでしたか。良いことを知りました、これから何か無茶なお願いをする時は使えそうです」
「お前なぁ!! でもこれ場合によっては自分の首絞めるかもだから気をつけろよ」
「? はい」

 普通に学校でパシリくらいなら問題ないが、もし良い雰囲気になって拒みたいときに名前呼びなんかしようものならトドメだぞ、というようなことを藤堂は言っていたが千早には全然伝わってなかった。
 ようやくひとここち着いた頃にはもうすっかり外は暗くなっていて。

「あ、やべ。そろそろ帰るよな? 送るわ」
「別に大丈夫です、そんなに遠くないし」
「なんかあったら大変だろ! 姉貴ー!! 俺千早送ってくるから飯もう少し待っててくれ!!」
「あいよー。ていうかあたし準備するのに」
「絶対キッチン触るなよいいか絶対だぞ!!!!」
「フリ?」
「フリじゃねえ!!!! ねーねのこと見張っててくれよ!!!」
「まかせて葵にーに!!」

 藤堂家は今日も賑やかだなぁ、なんて思いながら玄関で千早が藤堂を待っていると、にーにではなくねーねのほうがやってきた。
 人見知りの気のある千早が若干緊張するも、藤堂姉はにっこり笑って小声で囁く。

「いやぁ、うちの弟アホで悪いね」
「へ!?」
「アホなんだけど、まあ、いい子ではあるからさ。これからも仲良くしてやってね」
「……はい。藤堂くんが、仲良くしてくれるなら」
「はは、あいつは一途だぞ~! もし別れたくなったらあたしに言いな、黙らせてやっからさ!」
「姉貴やめろ不吉なこと言うんじゃねえ!!!」
「だってあんた好きなもの絶対手放せないじゃん」
「当たり前だろ別れねえよ!!!!!」
「あんたはそうでも千早ちゃんは嫌になるかもしれないだろー?」

 目の前でぎゃいぎゃいと言い争うふたりに、思わず千早の顔が綻ぶ。
 いいな、と思った。理屈じゃない。

「ふふ、嫌いになったりしませんよ」
「!!」
「ほら見ろ!!!!! じゃあ俺送ってくっから!!!」
「はいはい。千早ちゃん、また来てね!」
「ッはい! お邪魔しました」

 賑やかで楽しい家ですね、と玄関先で千早が笑えば、姉貴は俺をからかって遊んでるんだよ、と少し拗ねた顔で藤堂が答える。

「次は姉貴が居ねえときに呼ばねえと……」
「え、もしかしてやらしーことでもする気ですか? 藤堂くんてばほんと思春期ですね~?」

 にやにやと千早が問えば、真っ赤になって否定する。
 そう思っての言葉だったのだが。

「そーだな、次はもうちょいやらしーこともしてえなぁ?」
「ッ、な」
「今日はマジでほんっとうにギリギリだったし(理性が)……流石に家族がいる中であれ以上は無理だからな」
「え、ほ、ほんきです……?」
「……お前が嫌ならしねーよ」
「! っ別に、ど、ッ童貞のお手並み拝見してあげてもいいですけど」
「おい童貞と決めつけんなや!! 童貞だけど!!!」

 結局軽口の叩き合いをする間に家について、藤堂は来た道を帰っていく。
 自宅のドアを潜り抜けた瞬間、千早は携帯電話を取り出して滑らかな動きで電話を掛けた。

「もしもし要さんですか!? 可及的速やかに女子会おかわりお願いします!!!!!!」
『やっぱりね!!!!』
「一緒に勝負下着見に行きましょう!!!」
『よしきた!!! ドエロいの買って葵っちをビビらせよう!!!!』
「いやそこまでは望んでませんけど!?」

 すっかり俺も浮かれポンチですよと嘆く千早と絶対楽しいに決まってるじゃんとウッキウキの要が一緒に女子会(お出かけプラン)を決行する日は近いのだった。
 

終わり

 彼氏の俺よりイチャイチャしてんじゃねえ!!!! とけーちゃんが怒られるのも多分秒読みなやつです^^
 こんなに長くなる予定はなかったんです、三分の一くらいの予定だったんです。
 まあ予定ですからね、こんなこともありますね!!!(目を逸らしながら)
 千早が思いのほか拗らせていたのとイチャイチャターンをしっかり書きたかったのが原因なのはわかりきっているので……!!
 
 なお後日危惧していた通りにやらしいことされるにあたり『ま、待ってください葵くん!』とか言っちゃって見事火をつけておいしくむしゃられる未来がきます(?)

いりあ

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